洗濯ネームとは、繊維製品の取り扱い方や組成繊維の割合などが表示されているタグのことです。洗濯ネームの取り付けは、消費者の利益を保護する目的で制定された家庭用品品質表示法によって義務付けられています。
そのため、ハンドメイドの作品であっても、繊維製品であれば洗濯ネームを取り付けなければいけません。しかし、子どもや肌が弱い人にとっては、洋服を着た際に洗濯ネームがチクチクしてしまって不快な思いをする場合も。
本記事では、洗濯ネームに使用される素材の特徴や印字方法について解説するとともに、洗濯ネームが肌を刺激しにくくなるアイデアをご紹介します。ぜひ参考にして、お客さまにとって着心地のよい洗濯ネームを作成しましょう。
洗濯ネームの素材は主に3種類
洗濯ネームに使用される素材は、主に以下の3種類です。
- ポリエステルサテン
- ナイロンタフタ
- コットンタフタ
それぞれの特徴を知り、取り付ける繊維製品に適切な素材を選択しましょう。
ポリエステルサテン
もっとも洗濯ネームに使用される素材がポリエステルサテンです。光沢があり、ソフトな肌ざわりなので、インナーなど肌に触れる部分に取り付ける洗濯ネームに向いています。
色は、白と黒の2パターンが一般的です。黒いポリエステルサテンに白い印字を施せば、高級感のある洗濯ネームになります。
吸湿性が低いため、水による収縮も少なく、洗濯にも強い素材です。切り口はほつれやすいので、縫いこんで使用する必要があります。
ナイロンタフタ
ナイロンタフタは、パリパリとした紙のような質感の素材です。ポリエステルサテンと同様に、洗濯ネームによく使用されます。
切りっぱなしでもほつれにくいので、そのまま使用できるのもメリットの一つ。はっ水性が高く、丈夫な素材として幅広く活用されています。
ただし、肌触りが硬めの素材なので、直接肌が触れる部分に使用するとチクチクとした印象を与える可能性があります。そのため、アウターやスーツなど、洗濯ネームが肌に触れない繊維製品に向いている素材です。
コットンタフタ
綿タフタとも呼ばれ、コットン系の素材にほつれ止めを施した生地になります。優しい風合いが特徴的な素材です。
印字する際、素材の性質上、線状の筋が出たり斜線状の印刷抜けが発生したりする場合があるのがデメリットといえます。ハンドメイドなどの作品には、素朴なニュアンスがあるコットンタフタの洗濯ネームがおすすめです。
洗濯ネームの印字方法
洗濯ネームの印字方法を用途によって選択すると、コストを抑えられる可能性があります。それぞれの印刷方法の特徴を見てみましょう。
熱転写式印字
インクリボンの文字やロゴを熱で溶かして生地に転写する方法のことを、熱転写式印字と呼びます。発色が良いのが特徴で、アパレル製品によく使用される手法です。
さらに、耐熱性や耐擦過性にも優れています。版が不要なため、比較的安価に洗濯ネームが作成できるのも嬉しいポイントですね。
使用できる素材は、ポリエステルサテンやナイロンタフタなどです。
凸版印刷
凸版印刷とは、印字する部分を高くして、その部分にインクをのせ素材に転写する方法です。ハンコやゴム印をイメージすると分かりやすいでしょう。
鮮明に印字することは得意ですが、細かい絵柄や線を印字したいときにはあまり向いていません。他の印刷方法に比べると低価格なので、予算を抑えたい場合、おすすめな方法です。
シルクスクリーン印刷
孔版印刷の一種で、メッシュ状の版に穴を作り、穴の部分にインクを落とすことで生地に印字します。仕上がりがきれいで、耐久性にも優れているのがメリットです。
印刷する元となる版を一度作れば、インクや素材を変えられるのもシルクスクリーン印刷の面白い点といえます。ただし、版を作る必要性から、小ロットで依頼すると単価が他の印刷方法より高めです。
定期的に作成する場合やオーダーする量が多い場合などはおすすめな方法といえるでしょう。
洗濯ネームやブランドタグがチクチクするのはなぜ?
洋服の首回りや腰元に付いていることが多い、洗濯ネームやブランドタグ。着用しているときに、チクチクと肌を刺激してかゆい思いをしたことがある人も多いはずです。
これは、肌に対する感覚過敏や接触過敏が原因。特に首の後ろは皮膚が薄いので、より刺激を感じやすい部分になります。
ネームやタグによる刺激で皮膚を掻いてしまうと、余計に痒みが強まってしまう可能性が高めです。掻きむしることで皮膚が赤くなったり、酷い場合には刺激から小さなイボができてしまう場合もあります。
皮膚が敏感な小さな子どもの場合、洗濯ネームによる痒みを上手く伝えられないこともあります。特定の洋服を嫌がったり肌が赤くなっていたりするときはタグ部分が原因になっていないか確認してみましょう。
洗濯ネームの肌への刺激を減らすアイデア
洗濯ネームは繊維製品の品質保持のためにも取り付けが義務になっています。肌へ直接当たる部分に縫い付ける場合、できるだけ肌への刺激を減らす工夫が必要です。
肌に低刺激な素材で作る
できるだけ柔らかい素材で洗濯ネームを作成しましょう。おすすめは、ポリエステルサテンやコットンです。
また、洗濯ネームのサイズも重要なポイント。肌への刺激を考えて、小さめの洗濯ネームにするのは逆効果です。小さいほど、生地の硬さが伝わりやすくなってしまいます。
サンプルがもらえる場合は、事前に取り寄せて肌ざわりを確認すると失敗を防ぐことが可能です。
服の外側に洗濯ネームを取り付ける
下着など外から見えない繊維製品の場合、肌に触れる内側ではなく、衣類の外側に洗濯ネームを縫い付けるのも一つの方法です。このとき、あまり大きなサイズだと目立ってしまうので、コンパクトな洗濯ネームにするとよいでしょう。
おしゃれなロゴを入れたり個性的なデザインを施すと、洋服の外側に洗濯ネームが付いていてもアクセントになるうえ、着心地も良くなって一石二鳥です。
まとめ
洗濯ネームに使用されがちな素材は、ポリエステルサテン・ナイロンタフタ・コットンタフタなどです。印刷方法は主に熱転写式印字が採用されることが多いですが、用途に応じて選択するとコストが抑えられる可能性があります。
肌に直接触れることの多い、洗濯ネーム。低刺激の柔らかい素材を使ったり縫い付ける場所を工夫したりすることで、お客さまにとって着心地のいい製品に仕上げられます。
普段目に付きにくい洗濯ネームにまで心配りをすると、信頼できるブランドというイメージアップにもつながるはずです。